続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

DO YOUR THING

半分引きこもりのまま、なんとか引っかかるみたいに通信制高校に在籍している娘氏は、この三連休東京でスクーリングだった。東京までの往復と、朝から晩までリアルの授業、ハードなことだったろう。

彼女にはおそらく無理だろうと親二人は内心諦めていたのだけど、初日遅れたものの、その後は機嫌良く自分で早起きして、無事通い通した。

授業は眠かったが、隣の席の風変わりな女の子と仲良くなり、隣駅で降りるやっぱり風変わりな男の子と毎日一緒に帰り(娘の学校は普通高校にはいないタイプの一風変わった人が多い)、ランチは毎日カフェ飯を楽しみ、それなりに楽しくやってたみたい。

はーそうですか、そりゃ何よりですわ。

普段から悩み多い娘氏に付き合って、長く話したり私も一緒に悩んだりしているのだけど、いちいち真に受けるのはもうほんとやめようと思う。

私は三人三様の子供たちに、どうも振り回されすぎている気がする。

親がサポートできることなんてほんと限定的。

子供の人生は親が提供する環境の影響はもちろんあるが、本人の生来の気質もあれば、人や出来事と出会う偶然もある。つまりなるようにしかならん。

 

先週、娘氏が別の通信制高校に行っているお友達に、ちょっと尋ねたいことがあってお家へお邪魔するということがあった。

帰ってきた娘氏は、その家に流れている空気がいかに風通しが良く、その家のお母さんがはつらつと元気で、そのことが子供達にいかに良い影響を与えているかを感心して語った。

「ぜーんぶだいじょぶよー。さ、一緒に楽しいことしよう!」

と言って、家族を巻き込みつつも、別段強要はせず、なんのかんの言って一番自分が楽しそうにしている。そんな呑気で大らかな太陽みたいなお母さん。

そんなお母さんの元では、子供は無用なプレッシャーを受けないで済む。

学校行っていなくても、好きなだけ家にいても、友達いなくても、人と考え方が違っても、別に全然大丈夫だし、何も怖く思うことはない。

その友達は心からそう思えているみたいだ、と娘氏は言っていた。

「私は長いことそうは思えなくて、随分遠回りしたなと思って」と少し恨めしそうに言う。

 

昔から知ってるそのお母さんは、以前からスピリチュアルなことを中心に大変勉強熱心な人で、「自分の好きなことに情熱を注いで、自分がまずハッピーであることが大事」と言うことを繰り返し語っていた。

で、それを会ってなかった長い間もずっと誠実に、一所懸命やって来られたのだと思う。

人は、どんな生き方をしていても、人生の時間を重ねていくことはできるのだけど、自分の基本方針に忠実に一所懸命善くあろうと日々心がけているかいないかでは、人としての「仕上がり」は多分相当変わってくるんだろうと思う。

それは怖いことだし、同時に希望でもある。

人間、40代、50代になってくると、目鼻立ちとかってほんと瑣末なことになってくる。瞳が澄んでいる、優しい笑顔の笑い皺、働き者の手、しゃんと伸びた背筋、似合う服を大事に手入れして身に付けている、そういうところにその人の味わいや人としての可愛らしさが隠しようもなく現れてくる。

無理な向上心は無用だが、毎日の積み重ねをあなどっちゃあいかんなと思う。

 

で、彼女の考えは全くもって正しい。しのごの言わず、自分が楽しくいられることを優先するべきだ。幼児は別だが、皆、基本自分のことは自分でやればいいのだ。

私自身は、家族優先でずっと生きてきて、今や自分がやりたいことがなかなか見えなくなってしまったところはあり、家族との生活や家事に支障が出ない範囲でできることしか、やっちゃいけないようにも感じており、その思考の呪いをまずは外していくということがなかなか難しいことに思えている。

実際、家族は自分たちがつつがなく楽に回るように、「お母さん」がサポートしてくれることを要求してくる。悪気なく、とても無自覚に。

各々がちょうど良い時間にご飯が出てくること、天気の悪い日の送迎や、あらゆる調べごと、誰かとの交渉、各所への連絡ごと、あらゆる支払い、必要な買い物ピックアップして一番適切な商品を選んで買うまで、散らかしたものの掃除、壊れたものの修理、そういうありとあらゆる日常の瑣末なこと。

その小さな要求の集積が、彼女の自由を相当奪い、がんじがらめにし、下手をすれば彼女の人生を空洞化させるほどのボリュームとなってほぼ全部を侵食してしまうことが、家族の間では往々にして起こるということ。

その自覚が家族の側にあるかというと、全然ない人の方が多いだろう。かつての子供だった自分がそうだったように。

 

最近、主婦仲間の友達と会っている時に、そういう辛さを聞くことがしばしばある。

とてもやるせない。有効なアドバイスもなく、いつも聞くことしかできない。

でも、何はともあれ「DO YOUR THING」に向かうことが、良いことのような気がする。衰えた体力気力と相談しつつも、あの人を見習いつつ、やれることをやって行こう。