続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

明日は参院選

選挙の2日前に最悪の出来事が起こって、こんな混乱した状況の中、明日、投開票だなんて、現実とはなんて予測不能なんだろう。

とにかく明日の選挙に際にしては、情緒に流されることなく、皆が本質に立ち返って冷静に判断して欲しいと願う。

 

「民主主義への挑戦」とか「言論を暴力で封殺してはならない」というような言い方が、メディアや政治的立場を超えて色々な人々から聞こえてくる。

安倍元首相の追悼番組や「功績」をまとめた記事なども見られる。

すごく違和感がある。

だって、誰よりも安倍元首相自身が、民主主義や言論による対話をばかにして軽んじ、堂々と無視し、憲法を都合良く自己解釈して悪法をいくつも作り、説明責任から逃げ続け、公人としての責任をほとんど果たさない「反民主主義者」だったのだから。

自分と異なる意見を持つ人を排除し、攻撃し、嘲笑するという仕草をずっと続けてきた人だった。

安倍元首相こそが日本の民主主義に挑戦し、言論封殺に加担してきた。それらのことに対するとりわけ大きな責任を負う人のひとりであると私は思う。

 

もちろん、誰であれ暴力的に人の命が奪われることは絶対に良くない。

けれど、彼の死を民主主義とか言論の自由と絡めて語るのは、本質を見えなくすることだと思う。

逮捕された犯人自身が「殺害動機は政治的な要因ではなく、安倍首相が長年深く関わってきたカルト宗教統一教会との関係にある」という供述をしている。

まだ全容が解明された状況にはないけれど、少なくとも今回のことは、民主主義への挑戦なんかではなく、「反民主主義者を別の反民主主義者が私的な恨みによって攻撃した」という構図であることは確認しておかなくちゃならない。

 

「彼は正当に逮捕され裁かれ、自分の口で国民に説明しなければならないことがたくさんあったはずだ」という言い方も聞かれる。

確かにひとつの正論だとは思うけれど、では、今の日本が彼を正当に裁いたり、説明の場に引きずり出すことが一度でもできたのだろうか、とは思う。

生きていても彼は死ぬまで説明も謝罪もしないだろうし、責任も取らなかったろうなと思う。

100回以上も国会で虚偽答弁をしても、誰ひとり彼を罰することはできなかった。あのアベノマスクを誰もがあほらしいと思いながら止めることができず、何百億円という税金が無駄に使われることになった。

幾つもの汚職事件で明らかな証拠が出てきても、彼と彼の仲間の不正は軒並み不起訴になり、不問に付された。

それってすでにもう民主主義が崩壊している。

そのことをあたかもないみたいにして語るのは、説得力に欠けることだ。

 

彼を含め、誰もがあんな風に亡くなる社会は嫌だ。

でも石原慎太郎の時も思ったけれど、故人になった途端にこれまでその人がやってきたことをなかったことにして、持ち上げるのは違う。

今のメディアのあり方は、ほんとうに問題だと思う。こんな風に政権に忖度していれば、いずれ自分たちの首も締まるのに。

私もできれば亡くなった人のことに言及などしたくない。

でも、明日、これから3年間のこの国の権力のバランスが決まってしまうのに、こんなカオスになっているのはやりきれない気持ち。

 

安倍政権下で、経済の伸び率も、失業率も、賃金の伸び率も、自殺数も、破産件数も、すべて歴代最低だった。

社会保障は削られ、こまめな増税を繰り返し、今では収入の半分を税金で持っていかれる暮らしになった。

派遣法の改悪、技能実習生制度、入管法改悪、あらゆる利権による中抜き、検察庁法改正や改憲を望み、特権階級はフリーハンドを得て、市井の人々はどこまでも粗末に扱われる社会にすることに加担した。

彼の政権下で秘密保護法や共謀罪を成立させ、情報は軒並み黒塗りになった。

公的統計の改ざんや破棄が繰り返し行われ、ほとんど誰も責任を取らなかった。

その中で安倍元首相の不正の後始末をさせられて、赤木俊夫さんが自死した。

内閣人事局を作り、意に染まない者は排除して、政府の内部は無能なイエスマンや自分が利益や保身を得られれば後のことはどうでもいいという人ばかりになった。

まだまだあってとても書ききれない。

それほどまでに安倍元首相と今の与党は、長期的、倫理的な視点を持たず、国益と国民の富を奪って1%の富裕層の個人資産に付け替えることを集中的に行ってきた人々だと言えると思う。

これらのことは「悪口」じゃない。

単なる事実でしかない。とても情けないことだけれど。

 

これらを踏まえ、納得した上で自民党に投票するというのなら、それはそれで良いと思う。私は理解に苦しむけれど、本人の意思表示なのだから。

でも、ごまかしや嘘や情緒で、冷静に考えずあるいは無知のまま投票してしまうのはもったいなさすぎる。

 

元首相が凶弾に倒れたことは民主主義の危機だ、とメディアは言う。

ならば暴力じゃなく今こそ投票によって民主主義の力を示すべき、と広く伝えてほしい。