続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「プラン75」

PLAN 75 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品・上映情報 - 映画ナタリー

2022年/監督:早川千絵/122分/2022年6月17日〜公開

 

今年のカンヌ映画祭のある視点部門のカメラドールを受賞したことで知ったこの作品、概要を知り、ここ最近一番見たい作品にリストアップされていた。

すごい作品だった。抑制の効いた緻密な演出の積み重ねや暗鬱として美しい撮影と音楽との調和も素晴らしかった。映画がやるべき仕事とは、こういうものであるべきなんだと思う。

なんてことだ、ここにあるモチーフはもはやメタファーでもSFでもなんでもない。普通に私たちの今の暮らしの地続き上にある。わたしたちが目を逸らし続けている間に、この国はここまで来てしまった。

見ている間ずっと、鉛の塊を喉元に押し込まれていたみたいな感覚だった。

高齢者の多い劇場は、初日ということもあってかなり客席が埋まっていたが、上映後は重く静まり返っていた。

 

この感情の塊を、簡単に言葉にしてしまうことなく、当分ずっと抱えながら過ごすことになると思う。考えよ、考えよ、私。どうありたいかどう生きたいか。

悪政が極まり、憲法改悪が目前に迫った来月の参院選を前にしたこのタイミングで、この作品が見られることの意味はとても大きい。

2022年のこの国を象徴する重要な作品のひとつになるだろうと私は思う。

 

公式サイトの中の、早川千絵監督の言葉。

私たちは今、“生きる意味”やら“生きる価値”なんてことについて、いちいち説明を求められるような世の中に生きています。

自分のことは自分で責任を取るべきという社会の空気に多くの人が追いつめられ、「助けて」と言葉にすることすらためらわれる。

「人に迷惑をかけてはいけない」と子供の頃から教えこまれて育った私たちは、人が無条件に助け合うことが人間として当たり前の姿であるということを忘れてしまっているのかもしれません。
この映画は、経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれました。

倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。そんな映画にしたいと思っています。

倍賞さんはこの映画に命を吹き込んでくれました。いつまでもその姿を見つめていたい。その声を聴いていたい。

撮影の間じゅうずっと、倍賞千恵子さんという俳優、その人間性に魅了されっぱなしでした。

光と影の中で息をのむほど美しい倍賞さんのたたずまい、その存在自体がこの映画の魅力の一つです。

是非映画館の大きなスクリーンで見ていただきたいです。