続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

チョムスキーへのインタビュー②ジャーナリズムには2種類ある

Q:ウクライナから信じられないほど勇敢で重要なジャーナリズムがウクライナ人記者によって発信されている一方で、西側諸国のヘッドオフィスでは全く異なる政治的な事件が持ち上がっている。

特に権力のある大メディアのジャーナリストたちのやっていることは、アメリカとNATOプロパガンダにすすんで協力することだ。

この動きは米政権が不確かな情報をメディアに押し付けることによってメディアを操作することと同時に起きていることだ。

米政府がこうしたメディア操作をすることは別に新しいことではない。私が今回異常というか、興味深いのは、政府が自国のニュースメディアやジャーナリストを利用して、戦争に前向きな流れを広めることを実に喜ばしいと考えていることだ。

 

【政府による情報操作も、プロパガンダを喜んで拡散するジャーナリストも、何も新しい存在ではない】

・おっしゃる通り、何も新しくはない。同じことが第一次大戦時、イギリスが情報省を設立した時にも広く組織的に行われた。その目的は「ドイツの恐ろしい戦争犯罪の物語を広げて、アメリカを参戦させること」にあった。その企みは成功した。アメリカのリベラル知識人たちは、そう印象操作されていることもわかった上で参戦を受け入れたのだ。

 さらにウィルソン大統領は、公共情報省を設立し、アメリカ人がドイツの全てを憎むように情報操作した。

それは、レーガンの持っていた「広報外交室」に繋がっていく。これは、自分たちの行いについて、国民やメディアを騙して丸め込むための機関だ。

政府にとって情報操作は難しいことでもなんでもない。

1954年、アメリカはグアテマラの民主的な政治を転覆させた。

その後、何十万もの国民を虐殺した凶悪で残忍な独裁政権は、アメリカの支援によって樹立した。

その時の経緯を(会社の活動として、独裁政権を支持するようジャーナリストを利用した)ユナイテッド・フルーツ社の広報担当が詳細に述べている。

「ええ、我々はジャーナリストを利用しました。けれど忘れないでください、彼らがどれほどこの体験に熱狂していたかを。彼らが望んでいたから、餌としていろんな偽情報を与えました。ジャーナリストたちは独裁国家と暴力とテロを支持したがっていたので、むしろ喜んでいたくらいです」

 これは、現場のジャーナリズムの話ではない。あなたの言うように、ジャーナリズムには2種類ある。どの戦争でも同じことです。戦地には真剣で勇敢な記者たちがいます。

 ところが、オフィスの報道室のジャーナリズムは全く違うものだ。それがメディアの真実です。

【勇敢な戦地ジャーナリズム、低レベルなオフィスジャーナリズム】

何も遠い昔を振り返る必要はない。N Yタイムズをみてみましょう。N Yタイムズは世界最高峰の新聞社だが、そこでの仕事は別段難しいものではないようだ。昨日かおととい、真面目な思想家である論説委員が「戦争犯罪人にどう対処すればいいのか?」という記事を書いていた。『この戦争犯罪人をどう扱えばいいんだ、我々はお手上げだ』

この記事が興味深いのは、この記事が世論が期待していたものであったゆえに嘲笑されなかったということだ。実際、この記事に対するコメントはなかった。

しかし、我々は本当に戦犯の扱い方を知らないのか?いいえ、もちろん知っている。つい2、3日前にそれを明確に報道して見せたのだから。

アメリカにおける最も代表的な戦争犯罪人は、イランとアフガンへの侵攻を命じた人物(J. W.ブッシュ)だ。これ以上の戦争犯罪人はいない。

2021年10月、アフガン侵攻20周年を記念したインタビューが行われた。その男へインタビューしたのは、ワシントンポスト。実に素晴らしい功績だ。一見の価値がありますよ。

そこでは、愛すべきおっちょこちょいの爺さんが、孫たちと遊ぶ様子、幸せな家族、彼が出会った素晴らしい人物の肖像画を紹介している様子が書かれている。

つまり、アメリカは戦争犯罪人の扱いをよく知っている。一体何が問題なのか?

興味深いのは、このインタビューが世界最大の新聞に掲載され、さらに読者から一言のコメントも投稿されなかったことだ。

つまり、ユナイテッドフルーツ社のトム・マッカンは、あなたの問いに見事に答えている。

「彼らは、ジャーナリストとしての経験値をあげることにしか興味がないんだ。それがプロパガンダかどうかなんて、どうでもいいことなんだ」

政府は認知防御システムで狡猾に保身をはかる。しかし、ジャーナリズムは現場の人間の矜持しだいなのだ。あなたがそれをやろうと決断すればいいのだ。