続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

のっけから暗雲

今朝の我が家のダイニングは、ベビーゲートを挟んで天国と地獄みたいに空気が違うのだった。

ダイニングとリビングを仕切るベビーゲートの内側にいる末っ子は、おさるのジョージさながらに柵をつかんできゃっきゃと笑いながら飛び跳ねている。ダイニングテーブルでもそもそと卵焼きを食べる娘氏は、うつむいてこれ以上ないくらいどんよりした様子である。

私は心の中で深々とため息をつく。

 

先週から娘氏の高校が始まっている。今週は準備週間で、授業に使うアプリのインストールや各種IDを作ったり、学習計画を立てたりしているようである。

夫のおさがりのMacBookairを使っているので、管理者でないと変えられない仕様変更などで初日からつまずいて随分苦戦したらしい。加えていくつものパスワード設定、メールソフトのパスワードを忘れたり、うまくログインができなかったり。

インターネットあるあるで、さぞ「イーーーーッ」っとなってたんだろうなと想像に難くない。私は2、3度トライしてログインできなかったりしたら、遠い目をしてさっさと諦め、違うことをしだす人。

 

娘氏の高校はデジタル一辺倒で、オンラインやバーチャルに対する躊躇は全くない。アナログでどんくさい私の感覚では、そんなにネットにまるっと乗っかってしまって大丈夫?とも思うのだけど、そういう質問は愚問と憚られるような環境である。まあ、それを承知で入ったというところはあるので。

 

ただ、デジタルに対する考えはともかく「理不尽な押し付けがなく、個人が尊重されてる自由で抑圧的でない環境」と思って入学したのだったが、おととい帰宅した娘氏に学校での様子を聞いて、どうもそうでもないらしいということに、少なからず気落ちや焦りを感じている。

 

娘氏いわく、これから将来ビジネス的にどう自分をもっていきたいのか、そのためには何が必要で、どんなスキルを磨いてどんな資格を取って、その先にどんな職業に就いて、10年後にはどれくらいの年収額を稼いでいるのか、学習計画を飛び越えてライフプランならぬビジネス戦略めいたものを書かされたらしい。

個人的にはちょっと受け入れがたい話である。

「そんなことを言ったって、やっと外に出る生活をしようってなって、これからどう生活を立て直して新しいサイクルに自分を馴染ませていくか、それに必死な状態なのに、10年後の年収なんて(泣)」と娘氏。

まずはきちんと通学して、学習を始める基盤ができるように、生活サイクルを立て直すことをしっかりやって行きたい、とか何とか書いたけど・・・と気弱そうに言っていた。

 

で、疲れで呆然とした娘氏は「全てに全力投球して頑張れ、やる気がない人も何とかやる気を出して頑張れ」みたいなトーンでおおむね全てが語られているのを一日ぽかーんと眺めていたようである。

「ねえ、何にでも全てに全力投球しなくちゃいけないのかなあ。そんなに勝つとか成功とかを目指さなくちゃいけないものなの?」

と娘氏が訊くから、泣きそうになりながら「んなわけないじゃん」と答える。

「真に受けてはだめだよ」またこの言葉を言わなくちゃならないなんて。

 

あーーまじかーー。

入学前の説明会では、「どんな子も分け隔てなく受け入れます。自由でのびのび自分らしく過ごせます。不登校などで中学校の学習が抜け落ちていても、中学校振り返りのプログラムなどでしっかりサポートするから大丈夫です」という話だった。

あとは、通学生本人や子供を同校に通わせている数人の知人の話を聞いて判断した。

事前のリサーチが足りなかったと言われればそれまでなのだけど。

確かに先生は皆若くて基本親切でフレンドリーだし、クラスはなく学年を超えて縦割りでグループで、生徒も皆自由で好きな格好をし、フラットな態度の人たちが多く、そこは良かったようである。

引きこもりからのフルタイムのカリキュラムがきついだろうことは当然予想もしていたし、そこは慣れていくしかないんだろうと思っていたけれど。

建物内では終始マスクが徹底され、昼外出も規制があって、35分しかないランチタイムは黙食で、しんとした部屋の中で咀嚼音だけが響いてるのだそう。長時間のマスクで頭が痛くてたまらないと娘氏は言う。

「気が休まるのは非常階段とトイレの個室の中だけ」

うーー不安しかない。

とりあえず担当の先生に状況を伝えて、対応できる部分はして、苦痛の軽減をはかろう。朝、学校に電話し、相談したいことがあるので時間があるときに折り返して欲しいと伝えた。それでまず、学校がどういうスタンスかを探ろうと思う。参った。