続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

完璧な他者はこの世に存在しない

週明けからもう3月。

卒業年の子供を二人抱えているとは思えぬほど通常モードの我が家。1歳児がいるので、いろんなことの対応が後手後手になってしまう。ふっとあれこれ思い出しては急に焦ってみる、の繰り返し。

 

娘氏は某通信制高校の通学コースに進むことになりそうだ。ただ、今もって体調もなかなか思うようにならず、昼夜逆転生活で、家から出るのはせいぜい週に1回。この状態で、平日フルではないにせよ、朝起きて電車に乗って通学するなんて現実的ではないよね、と私とだんなさんは懸念している。

娘氏は急に盛り上がってやる気になって高い目標設定をしては、玉砕して挫折経験を積んでより臆病に、慎重になる、ということを何度も繰り返してきた。だから無理せず通信のみで、自由な時間をやりたいことめいっぱいやるのもいいんじゃない、と勧めたのだが、本人は中学生活がまるまるなく、大人とばかり話していた日々だったので、女子高生ライフをやってみたいのである。

 

行きつけの居酒屋のお嬢さんが偶然娘氏の進学予定の一学年先輩だとママ友に教えてもらい、話を聞かせてもらいに一緒に飲みに行ってきた。ちなみにママ友の娘さんも不登校。だから色々共通する話題もあって楽しい時間だった。付き合ってくれて感謝。私は、2年ぶりにビールを飲んだ。ぷはー。

その先輩女子さんは、小一時間もじっくり話を聞かせてくれた。通っている立場から、あらゆる面で率直に疑問に答えてくれ、しかも彼女が自由で楽しい雰囲気を漂わせた可愛らしい今どきの女子高生だったので、娘氏はだいぶ女子高生になるのが楽しみになったようだった。機嫌良く帰途につく。

 

家に帰って意気揚々と報告をする娘氏に、だんなさんは曖昧に相槌を打っていた。

娘氏が自室に戻った後、「本人には言わないけど、もうこれ以上がっかりしたくないんだよ」とだんなさんは言う。

「環境を変えれば良くなる、という考え方も確かにあるんだけど、『自分がこれをやりたいからここに行く』ということでないと結局裏切られることになる」

確かに、そう。

今、自分はアンハッピーな状況にあるけど、新しい友達ができれば、こういう場所に通えば、それらが私をひっぱり上げてくれるかもしれない。娘氏はそう期待している。

彼女はこれまで、いろんなものや人に期待してきた。そして、全部に裏切られてきた。

小学校時代からの仲良しの友達とだって、久々に会えると喜び勇んで出かけて、しょんぼりして帰ってきた。

考えてみれば当たり前で、不安定で繊細な彼女の心に沿って、同じくらいの重要度で向き合ってくれる、彼女の願いやニュアンスを完全に満足させてくれる完璧な他者なんて、この世に存在しないのだから全ての人や場所に失望するしかないのである。

娘氏を見ていて感じる痛々しさって、しんどい自分をなんとかしたくてもがいて、誰かや何かに託そうとして、でもいつまでもフィットするものに出会えない孤独感だったのだなと気付かされる。

娘氏のさびしく寄る辺ない気持ちはそれなりに分かる。欲望みたいなものがごく低くなっていると、人間希望が感じられないから、他者に期待することでなんとか打開しようと思う。私にも覚えがある。

でもこれは絶対に成功しないゲームなんだよな。

だんなさんはそれでも、「あの子のやりたいようにやらせてあげよう。頑張って働くさ」と言っていた。私としてはそれもつらい。家族の誰にも無理なんてして欲しくないのに。

 

翌日、娘氏には「誰かや何かに自分を何とかしてもらおう」と期待する限りにおいて、原理的に裏切られ続けることになると思うよ、ということはやんわり伝えた。

確かにそうだねと神妙な顔をして聞いていたが、その高校で彼女なりにやってみたいこともわりにあるんだということを聞くこともできた。うーーん色々難しい。

あとは心理の先生と相談かな、と思っている。