続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「tick, tick…BOOM! チック、チック・・・ブーン!」

ポスター画像

2021年アメリカ/原題:tick, tick...Boom!/監督:リン=マニュエル・ミランダ/115分/2021年11月12日〜Netflix配信

 

満を持して長編監督デビューした、アメリカミュージカル界の若きスター、リン=マニュエル・ミランダによるミュージカル映画。「ラ・ラ・ランド」や「ヘドウィグ・アンド・ザ・アングリー・インチ」に匹敵するほど楽曲とミュージカルパートの演出が魅力的。

アンドリュー・ガーフィールドはとてもチャーミングで愛らしいし、グルーヴ感溢れる息もつかせぬ構成も相まって、誰もが気負わず退屈せず楽しめるエンターテインメント作品になっていると思う。

 

ブロードウェイでの成功を夢見て、命を燃やすみたいに一心に生きて、自らの成功を知ることなく若くして亡くなってしまった「RENT」の作者ジョナサン・ラーソン。

ミュージカルに取り憑かれ、もがき苦しみつつも自分を貫いて愉快に人生を駆け抜けたジョナサン自身の日々をそのままモチーフにしたミュージカルが「チック、チック・・・ブーン!」。

すごく正直に自分のことをさらけ出していて、笑えるし、情けないし、その自虐っぷりが青春そのものだ。ほんとどーしようもない、でもなんて愛すべき人なんだろ。ジョンの不器用すぎる奮闘ぶりが愛おしくて、胸が熱くなる。なんと言っても、彼が亡くなってしまうことが分かっているのでどうにも切ない。

個人的に大好きだったのが、恋人のスーザンとの別れのシーン。いかんともしがたく続ける事ができず、でも心からお互いを認め合って、ひとつも罵り合うことなく別れていく。こんなに優しく素敵な別れのシーンって、あまり思いつかないくらいだ。

ジョンの人柄や彼がどのように人と関わって生きてきたのかが、このシーンにぎゅっと詰まっていた。

 

ジョンは、物事の明るい面や素敵な面を見るのが基本姿勢で、やりたいことで頭がいっぱいで自分の足を引っ張ったり挫こうとするものなど眼中にないし、意地悪さのかけらもない。

ただ仲良く、優しく、悔いなくありたいということだけ。とてもシンプル、それだけにしぶとく強い。

こういう人を見ていると、個別の事情の違いはあれど、人はやはり、なるだけ自分のやりたいことをやって、正直に生きるほうがいいのだとつくづく思う。

頑張ったからにはもちろん報われたい。でも、毎日をどう生きるかの積み重ね、そのプロセスが人生なんだよな。

人生は一度しかなく、かくも短い。被害者として生きるのはあまりにもったいない。

 

「RENT」も近々見よう。楽しみだな。