続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

息子氏の変化

急に空気が冷え込んで、慌てて衣替えをすすめている。毎度のことだが、衣替えをするとダストアレルギーでくしゃみと鼻水が止まらなくなりとてもつらい。しかも空気が急に冷え込むと喘息が出る。今夜辺り、発作が出そうで不安だな。

毎晩、暖かいほうじ茶を入れたポットを寝室に持ち込むようにしている。

 

息子話。と、その前に。

しばらく前に「親が子供の許可を得ずに、個人名が特定される形で子供のことを書くのは人権侵害にあたる」という指摘を受けた。いっそ子供のことは書かない方がいいのかもと思うが、さしあたって今後は子供の名前および愛称を書くのはやめることにする。

 

このところの息子氏は週に1、2度は高校をさぼっている。学校に行くと自分のやりたいことができないのだそうだ。それでなくてもコロナ以降、彼の高校はまあぐだぐだで、欠席連絡も特に入れる必要がないみたいになっている。しょっちゅう休む子も少なくないみたいだ。先週の文化祭もゲストは入れず生徒のみだったので大して盛り上がらなかったらしく、ハイスクールライフという意味ではいささか残念な、しかし気楽な高校最後の年を送っている。

いつもはあまりゆっくり話す時間もないんだけど、昨日は珍しくいろんな考えを話してくれた息子氏。

 

学校は前から苦手だったけど、夏休みに渡仏してからは高校の「いかにもJKぽいノリ」により拒否感を強く感じるようになったらしい。クラスメイトは普通に良い人たちだけど、彼らの話を面白いとは思えないんだ、と息子氏は言う。

自分の興味のある話をできる級友はいない。音楽科といっても皆クラシックよりJ-POPやK-POPの方が好きだし、一部の芸大や難関校を目指す人を除いては誰もが「とりあえず」音大に行くというゆるい環境である。

でも最近、たまたまいつも一人で難しそうな本を読んでいる物静かな美術科のOくんと話したら、すごい物知りで面白い奴で、意気投合したんだー、と息子氏。

Oくんは、息子氏がパリで見た、ポンピドー・センターの現代アートの展示について、その歴史背景や意図なんかを驚くほど事細かに教えてくれ、他にもアートや音楽のことを色々語り合ったらしい。

Oくんもクラスメイトとはこういう話は全然できない、皆アニメや漫画の方が好きだから、と言って楽しそうだったそう。

「久々に学校で友達と会話をしていて楽しいという感じがした」と息子氏はちょっと嬉しそうであった。

 

私は少し意外で、嬉しかった。彼は筋道立てて話すのが不得意な方だし、語彙も少なく、感覚の人だと思っていたので。

でも、息子氏の脳内シナプスは彼なりの複雑化と成熟を志向し、じわじわ進化し続けていたのだ。いつの間にか知的でロジカルな対話も楽しめるようになっていたんだなーふーんと思った。

 

息子氏はこんなことも言っていた。

もうすぐ選挙で、今回初めて投票するわけだけど、SNSとかで自分の政治的な考えを発信するとか考えられない。自分の意見を言うことなんてリスクしかないって思う。

みんな当たりさわりのないことだけを言っていて、だから学校や友達がつまんないんだけど、皆怖いんだと思うし、僕も怖い。

 

娘氏とはしょっちゅう話しているけど、息子氏とはほとんどこういう話はしないからちょっと新鮮に感じ、ちょっと居ずまいを正して私は息子氏に自分なりの考えを伝えた。

ひとつは、伝え方だよね。あまりに極端だったり、読んだ人が攻撃されていると感じられてしまうような発信は相手も受け入れがたいと思うから。だから言い方は大事。

でも、自分の思っていることを言うことは、リスクだけではないと私は思うよ。確かに引くわーって離れていく人はいると思う。だけど、「あれかわいー」「これウケる」みたいなことだけ言い合っている関係って、本当に楽しいのかな。ほんとにそういう人間関係って大事で失いたくないものなの?

逆に、自分の正直な考えを表明すると、自分もそう思ってたって言ってくれる人が現れたり、自分とは違う考え方でも偏見なく変わらず接してくれる人が分かったりして、自分が本当に繋がるべき人がはっきりするから、それはむしろ良いことと言えるかもしれない。

本当の自分を隠して誰かに好かれても、そんなの長続きしないし本当には楽しくもないから、早いとこ正直に生きる方向にシフトチェンジした方がいいように私なんかは思うけどねー。

 

 

夏以来、息子氏は早くここから巣立ちたくてうずうずしている。

多分家を出たら、あちこち頭をごつんごつんぶっつけながら、そのわりにあんまり大変そうでもなく、人に助けてもらいながら何とかやっていくんだろうと思う。

息子氏に関しては、自分は本当にろくに育てられなかったので、もう社会に(それも外国になる見込み)育ててもらうしかないよね、という感じ。

やりたいことに迷いなく進むのと、他人と比べないことが彼の何よりの強み。