続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」

ポスター画像

2019年アメリカ/原題:The Peanut Butter Falcon/監督:タイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ/97分

 

そういえば最近ロードムービーを見てなかったなと思い出す。久しぶりに広々とした気持ちになれるロードムービーだった。

やっぱり、自分にとってのロードムービーの醍醐味って、どこまで人間は無計画で出たとこ勝負で野生の勘でもって生きれるのか、どこまで荒唐無稽に迫れるか、というところがあって、それは言い換えると人はどこまで自由で何も持たずに生きれるのか、に挑戦したいという感覚なんだろうと思う。

そういう意味で、この作品のかなりのテキトーさ、まいいっしょ!というノリの飛躍感は、ロードムービーという枠組みに妙にフィットしていたと思う。

 

シャイア・ブラーフとダコタ・ジョンソンはさすがの安定感だったけれど、全体にいささか素人臭くステレオタイプは否めない。しかしありかなしかと言われたら、いやいやありでしょうと思う。

それはやはり主演のザックが、ファーストカットでもう心を持って行かれてしまうくらいチャーミングだからだし、なによりこの作品には愛があるから、としか言いようがない。

 

ただ、どうしてもここは不満が残るのが、タイラーにとってめんどくさいお荷物だったザックが、いかにして愛すべきバディになっていくのかのきっかけがちゃんと描かれていなかったこと。川を渡って焚き火をするシーンから出し抜けにタイラーが「お前は誰よりもいい奴だ」と言い出したので、あれ、何か見落としたっけ、と面食らってしまった。

ともあれ、これぞフィール・グッド・ムービー、という一本。

 

一体どんな人が作ったんだろうと興味をそそられて、鑑賞後に公式サイトを見たら、ふたりの監督のプロフィールがこれまで見た中で一番面白い経歴であった。

一人は、「どうでもいいCM出演、ならびにブラッド・ピットの手のパーツモデルとして活躍」、もう一人は「自転車でのアメリカ横断と果樹園作り、長いヒゲを伸ばすことに挑戦してきた」というあまりに変化球の経歴に笑ってしまった。いいなあー。