続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

生後346日(11m/12d)

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毎日暑すぎるのだけど、赤ん坊はどんどん体力がついてきて昼寝をしなくなっているし、家で編集をするだんなさんが忙しいサイクルに入っているため、気を遣ってなるたけベビーカーでお出かけをするようにしている。

歩いたり、美味しいものを食べたり、あれこれ試行錯誤しているけれど、なかなか気持ちは晴れない。鬱っぽい状態が長く続いている。

しじゅう体が軋んでいて、右腕が上がらず腰は痛く、よれよれだからかなあと思う。集中力がなく、じっくり読むことも書くこともできない。

何とか上向きになって欲しいのだけど。

 

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(昨日の夕焼けすごかった)

もちろん、赤ん坊は留保なくかわいく、要求は容赦がない。

私の姿を見ると満面の笑顔で両手をまっすぐこちらに伸ばしてよちよちと歩いてきて胸に飛び込んでくる。くたびれていても、何度でもきゅんと胸が温かくなる。笑顔の多い子である。

しかし、赤ん坊の世話をする暮らしとは、この散り散りばらばらの感情に翻弄されるということだ。自分のことをほぼ後回しにして生きることの独特の消耗感と、多幸感と、使命感が絡み合い、更には疲労で気力がわかず、足がもつれてうまく立てない。それで、為すすべなく大きな流れにぐわーと押し流されていく感じ。

今しばらくは、何とかかんとかサバイブして行くしかないのだ。

 

赤ん坊は、髪がだいぶ伸びて、そのせいか耳の周りをかきむしるので、耳まわりと襟足の髪をちょっと切った。真っ黒ではない、柔らかなひとふさの髪の毛をウッドデッキからぽいと庭に払うと、少し惜しいような気持ちになった。

 

このところ、何でも口に入れるばかりでなく、飲み込みそうになることが二度もあって肝を冷やしている。

ちょっと目を離したすきに、涙を流してえづきながら大騒ぎをするから、これは大変と思って、慌てて手を口の中に突っ込んで探り、頭を下にして吐かせる。そうすると、赤ん坊は金属の小さな部品をけぽっと吐き出し、しばらくは抱きしめて揺すってもわんわんと大泣きしている。

赤ん坊は程なく機嫌を直して、すっかり忘れたみたいに私に抱かれてころころと笑っているのだけど、私のどきどきはしばらく止まらず、どうして赤ん坊の手の届くところにこんな危ないものを、と自分を責めてひどく落ち込んだ。

これまで2人育ててきたけれど、こういう怖い思いはあまりしなかったような。忘れているだけだろうか。末っ子は一番向こう見ずで勝ち気な性格のように思える。

失ったら立ち直れないほど大きな存在を持つことは、よくよく考えるとおそろしいことだ。あんまり深く考えていては、子供なんて産めないよな、と嘆息しつつ思う。

 

赤ん坊はもうすぐ1歳になる。

 

記憶には残らぬ今日を生きている子にふくませる一匙の粥 俵万智