続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「アンダー・ザ・シルバーレイク」「ブルーノート・レコード ジャズを超えて」

一日しとしとと雨。寝不足と扇風機の風に当たりすぎたのと氷を食べすぎたせいで、喉が痛く、低くてハスキーな声になっている。

私は体が小さいので声が高く、自分の声が好きでない。低音に憧れる。楽器もチェロとかファゴットとかヴィオラとか、低めの音を出す楽器が好き。

だから今日は喉が痛いけれど、自分の声が低くやさぐれてた感じなのは内心嫌いでない。若い頃はそうじゃなかったんだけど、お祭り人間だったんだけど、今はなるたけ余裕をもって落ち着いていたいし、落ち着いている人のそばが心地いい。

 

ゆうたの何が困るかって、ギリギリのスケジュールに私を巻き込むこと。彼はいつだって、どうしたってギリギリになるようにしないではいられないのだ。早朝出し抜けに私まで突然タイムアタックみたいなことをさせられて、本当に腹が立つ。まったくもー。

そのうちゆうたは竜巻きみたいにわーっと出て行っていなくなってしまって、私はしばし放心状態になる。

 

でも実は、そうやってぎりぎりモードに巻き込まれると、脳が一気に集中モードに入るので、「そういえばあれがあそこにあった」と突然忘れていたことを思い出したり、「これをこうアレンジすれば使えるかも」と絶妙な工夫や応用の力で何とかあるもので間に合わせたりして、ポテンシャルが一段ぐっと引き上がるのである。

やだけど。腹たつけど。そういうことってあるよなとは思う。それだけいつも緩んで、限界値も低めということなんだろう。

 

f:id:beautifulcrown7:20210610163841p:plain

2018年アメリカ/原題:Under the Silver Lake/監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル/140分

★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

かなり好みの分かれる作品なんだろうけど、私は好き。落とし穴に落っこちるみたいにして時空の歪みにストンと入り込み、奇妙な妄想にどこまでものめり込んで帰り道が分からなくなる。心許なくてシュールで意味不明で、怖いけど独特の浮遊感が心地いい。

陰謀論って全てが説明できてしまうというがこの映画でもまさにそうなっていて、でもそれは滑稽なことだって作り手自身もよく承知している。その上で真面目くさって作っているのがふざけてて可笑しい。

デヴィッド・リンチ異世界感。しばしその奇妙で魅惑的なヴィジョンへのトリップを楽しむ。

 

ポスター画像

2016年アメリカ/原題:Carrie Pilby/監督:スーザン・ジョンソン/98分★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

あっさりとさりげなく可愛らしい作品。するすると楽しく見られたけど、引っかかるものはあんまりなかった。だってキャリーはそんなにこじらせてるようにも見えないし。幸せになるためのリストは至って普通だし。なんかひがんでるみたいだな。普通に楽しいリア充ブコメディであった。

 

ポスター画像

2018年スイス・アメリカ・イギリス合作:原題:Blue Note Records: Beyond the Notes/監督:ソフィー・フーバー/85分

★★★★★★★☆☆☆(7/10)

夜まったりとこれを見ながらだんだんまどろんで眠ってしまったのだけど、なんか至福そのものだったな。

端正で自由闊達な優れた音楽が心地良く、ジャズに対する愛が画面のどこからも感じられる。美しさと優しさに癒された。

ブルーノートが、ナチスホロコーストから逃れてアメリカにやってきた、アルフレッドとフランシスという2人のジャズ好きのユダヤ人によって立ち上げられたということを知らなかった。2人は音楽については素人で、でも心からジャズメンたちを尊重していて、彼らが十全に才能を発揮できるよう心を砕いた良い人たちだった。「マ・レイニーのブラックボトム」に出てきたような、黒人文化を搾取する白人みたいなことでは全然ない。

ミュージシャンたちとの信頼関係が垣間見えるエピソードに嬉しくてにっこりしてしまう。

 

ジャズを聞き出して間もない頃、ブルーノートレーベルのジャケットデザインがどれもすごくお洒落だから、CDをコレクションするのが楽しかった。今ではめっきりCDを買わないし手に取らなくなってしまったけれど、それぞれのデザインをよく覚えている。あの頃愛着をもって散々聞き返したアルバムのデザインがたくさん登場するのもふわっと嬉しかった。

やっぱり今見ても、ブルーノートのデザインって、どきどきするほど格好いい。