続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

バイデン政権の経済政策について

先週、複数のだんなさんと同じ業界の知人から(自分たちの業種でももらえる)とある給付金の存在、締め切り間近になって気付いて今慌てて申請しているんだけど、知ってた?もう済んでる?と連絡が入ったのだった。

 

もちろん知らなくて、情報に感謝しつつ慌てて申請作業を開始したものの、前回の持続化給付金に比べて、ものすごく煩雑で、揃える資料も多くて、税理士チェックとかもあり、あまりに時間もなくて。(しかももらえる金額は前回の半分以下)

次々に立ちはだかるハードルに、かなり几帳面なだんなさんでも何度か心が折れそうになっていた。

私は隣で見ているだけだったが、それでも相当ストレスを感じ、盛大に悪態をつきまくっていた。自分の申請スキルではとても手に負えない代物だ。皆がコロナ禍で苦しんでいる時に、こういうものをしゃあしゃあと要求するのだ。なんて邪悪なんだろ。

 

まともにインフォメーションしない上に、故意に煩雑すぎる申請書類、短い期限。今回、誰か業界内の賢い人が気付いて、拡散してくれたことで、ギリギリのタイミングで一気に多くの人の目に触れたのだと思うけれど、はなはだ業腹である。

困った人を救いたいということよりも、とにかく一件たりとも不正受給を出したくないという吝嗇な考えがあからさまに優先している。

この国は、福祉に関してものすごい思い違いをしている。これは国民の税金なのに「お上が施してやっている」とでも言いたげな上から目線。国民も勘違いしているから、こういうことが許されてしまうのだと思うので、皆で意識を変えていかなくてはならんと思う。

また、あわよくば申請者が間に合わないこと、書類の難解さに諦めることを期待しているかのような嫌らしいありようは、ケン・ローチの「私はダニエル・ブレイク」を思い出す。

イギリスでは、煩雑で技術の必要な手続き、事情を抱えた人には到底実現不可能なタスクの強制などによって、福祉対象外の人を故意に増やすという作戦が民間企業を使って公然と行なわれていることが、作品を通して鋭く暴露されていた。

日本のマインドはこれとほぼ同じだと言えるだろう。

 

それと正反対のことをしたのが、今のアメリカである。

バイデン政権は、国民全員一律22万円給付を決定し、一切申請手続きをすることなく、国が一斉に小切手を各家庭に送付するという形で給付をすでに行った。もし我が家なら、5人家族で110万円かー。助かるだろうなあ。

アメリカは周知の通り様々な問題が山積しすぎている上に、トランプのせいで、分断や貧富の差の拡大が加速し、もはや破れかぶれの悲惨な様相を呈していたが、政治が変わったことで流れが徐々に変わり始めている。

 

日本の主要メディアではあまり報じられないが、私は先月末に行われたバイデン大統領の施政方針演説で彼が発表した政策は、とても素晴らしいものだと思った。もしこれが実現できたら、彼は40年間世界を覆って多くのものを台無しにしてきた新自由主義と明確に袂を分かった偉大な大統領として、大げさでなく後世に名を残すことになると思う。

 

彼の主な政策は以下のようなもの。

・(ワクチンの是非はともかく)ワクチンを100日で2億回以上達成。

・国民全員一律給付

・総額218兆円のインフラ予算計上(長年の新自由主義でボロボロのまま放置されてきた国内のインフラにやっと手が入る、大規模な雇用の創出=ニューディール政策

・総額197兆円の家族支援予算(一人当たり月16万円〜32万円かかる保育園を無償化、公的義務教育を16年間に、子育て世代の税金免除など)

最低賃金を現状の10.95ドルから15ドル(1600円)に37%引き上げ

 

これまでで最大の財政支出をした政権はクリントン政権の2.3兆ドルだったが、その3倍の6.6兆ドルにのぼる財政支出

素晴らしいのは、その財源を、富裕層と大企業への増税から賄うことを明言していることだ。

 

「コロナ禍は、貧富の差の拡大を一層激しく加速させた。Trickle-down economics has never worked.(トリクルダウンが機能したことは全くなかった)」と彼がはっきりと言ったことの意味はけして小さくない。

「金持ちが更に富めば、彼らが贅沢をしたときに受けたサービスを提供する側の貧しい人々にもその利益が回ってくるのだ」という新自由主義の詭弁を完全否定した。

そんなものはどこにもない。実際は金持ちの間だけでお金がぐるぐる回っている。だからこれからはボトムアップなのだ。富裕層からお金をとって、貧しい人たちに直接手渡す。そうしない限り、貧しい人々にお金が行くわけがないじゃないか。

 

増税されるのは、年収40万ドル(4400万円)以上の富裕層のみ。「中間層はすでにじゅうぶん払っている」として、国民の9割以上に当たる40万ドル以下の人々は増税なし。

そして、大企業の法人税を21%から28%に増税

年収40万ドル以上の人は、アメリカの納税者の1割にも満たないし、法人税増税率はたった7%だが、アメリカの貧富の差はすさまじく、とりわけ上位1%の資産が膨大なので、これで財源が賄えてしまうという。それだけ現状が狂っているということになるのだが。

 

誰もが激しすぎる貧富の差が問題の根源だと指摘してきた。解は明らかだった。でも、誰も新自由主義にまともにメスを入れられなかった。大企業や富裕層が政治とメディアをコントロールしてきたから。

しかし、1980年代のレーガン政権以降の、金持ちがより太り貧乏人がより細る寒々しい新自由主義の社会を、根本的に変えようという動きが初めてアメリカで明確に打ち出された。

選挙中はsleepy Joeなどと揶揄されてきたバイデン大統領、素直に応援したい。

アメリカが変われば、属国である日本はもとより、世界に少なからず良い影響を与えることになると思う。

久々に希望を感じたニュースだった。

 

だから、この国では皆政治に対して口をつぐむけれども、政治はやっぱり大事なのだ。

リーダーが変われば、こんなにも大きく変わるのだ。

もちろん、この世にスーパーヒーローはいないから、誰かが一気に解決してくれる道はない。 一つずつ「ましな方」を選択し続けていき、丸投げせず、面倒でもいちいち異議申し立てをしていくしかない。

 

だから、もういい加減どんな言い訳も耳に入れず、まずはちゃんと選挙に行って、野党がベストではないにせよ、なにはともあれ、これだけの失政を繰り返してきた自民党公明党(と維新)にはもう投票しないという態度を基本中の基本と公言していいと私は思っている。

自民党にも中にはまともな人がいる」と言う人もいるけれど、口では何とでも言える。きっと次の選挙の時も、選挙中だけは良さそうなことを言うであろう。

何を言ったかを聞く必要はひとつもない。何をするつもりだと言う話もひとつも聞く必要はない。これまで何をしてきたか、行動が全てだ。

皆自分の保身を優先して、党議拘束に粛々と従って、あんなひどい法案もこんなあり得ない改正案という名の改悪案も、みんなして賛成してきたのだ。

 

私は今の日本の与党政治家は、大嫌い。幼稚で下品でえばっていて、不勉強を恥じもしない。平気で嘘をつき、ばかみたいなご飯論法みたいな言葉を操って勝ったつもりでいる。本音を言って非難されたら受け取り側の誤解のせいにし、利権に目の色を変え、差別がいけないという当たり前のことすら言えない。

もう、あなたたちの時代ではない。もう十分、いい思いをしたでしょうから、いい加減退場してください、と言う気持ち。