続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

最近観て良かった映画 2021年3月

「ナンシー・ドリューと秘密の階段」

Is 'Nancy Drew and the Hidden Staircase' on Netflix in Canada? Where to  Watch the Movie - New On Netflix Canada

2019年アメリカ/原題:Nancy Drew and the hidden staircase/監督:Katt Shea/89分

★★★★★★★☆☆☆(7/10)

この前観た「フランクおじさん」で、なんて表情が魅力的なんだろうと思った19才のソフィア・リリスがもっと観たくて鑑賞。

この作品はアメリカの児童文学「少女探偵ナンシー」という作品がベースになっていることもあり、作品自体も子供向けのとてもストレートフォワードな物語。

ちょっと80年代のスピルバーグ味というか、「グーニーズ」的味わいもあって、観ていて幸せな気持ちになった。

スケボー少女のナンシー、表情がくるくる変わり、生意気なのにずるいくらい可愛くてちっとも憎たらしくない。なんて可愛いんだろう〜。

 

キツツキと雨

ポスター画像

2011年/監督:沖田修一/129分

★★★★★★★★☆☆(8/10)

「すばらしき世界」の役所広司が素晴らしかったのと、ほぼ全部観てる沖田監督の作品で未見だったので鑑賞。

なんで今まで観てなかったんだろう、と思うくらい面白かった。何度も声を出して笑ってしまったし、役所さん(そして他の木こりの面々)、最高に味があって可愛くて、物語の転がり方もすごく好みだった。なんかすごく愛着を感じる作品。

「沖田監督は、素晴らしい〈間〉を持ってるよね」と、だんなさんが言う。

観て一瞬で他の誰でもない、この人の作品だと分かるのが、その監督のオリジナルな才能だと思うんだけど、沖田監督においては、その独特の間によってそれを感じさせてくれるんだろうと思う。

 

「この茫漠たる荒野で」

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2020年アメリカ/原題:News of the World/監督:ポール・グリーングラス/119分/2021年2月11日〜Netflix配信

★★★★★★★★☆☆(8/10)

アメリカのコロナ状況のため配信による公開になってしまったけれど、小さな画面で見るのがもったいないような大作

南北戦争後のアメリカの厳しくもワイルドな西部劇的世界が美しい美術で再現されていた。

監督のポール・グリーングラスは、ノルウェーウトヤ島のテロ事件とその後を題材にした「7月22日」が厳しくも抑制の効いた、静かな怒りと悲しみをたたえた素晴らしい作品だった。本作も同様の静けさがある。

  

時代は1870年。昔の物語であるのに、この物語の中で起こる出来事は現代のメタファーとしてぴたりと重なる。人種差別や女性差別やデマや陰謀論が横行して混沌としている今のアメリカの姿そのものみたいだ。

物語のキーパーソンである少女ジョハンナがただのマイノリティーではなく、複雑で込み入った背景を持つこと、主人公のキッドが新聞の読み聞かせをする情報伝達屋、つまりメディアを生業にしていることなど、作り手の明確な意図が垣間見える。

メディアはどうあるべきか、何よりも人間はどうあるべきかを、トム・ハンクスというアメリカのヒーローの姿を通じて投げかけている。

 

誰かを勝手にアイコンとして祭り上げてしまうのはいけないことなんだけれど、やはりこういう映画におけるトム・ハンクスって「アメリカの良心」を背負っている存在という感じがする。キッド大尉は、「プライベート・ライアン」のミラー大尉にとても近いキャラクターで渋く、さすがの安定感だった。そして子役のジョハンナの自然な野生児のたたずまいは演技と思えないほどだった。

野蛮で暴力的な西部劇さながらの世界で、ジョハンナが損なわれてしまわないかと終始はらはらさせられる。キッドの誠実さと賢さで彼女が守られ、温かい笑顔のラストシーンを迎えられた時には安堵のため息が出た。