続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

20年後のことしか興味がない

 

だんなさんがとある仕事で関わった、鎌倉でギャラリーを営むKさんという老婦人から、展覧会のお誘いを受けて、家族でお出かけがてら行ってきた。北鎌倉住みのお義父さんとも小町通り近くのレストランで合流し、ランチをしてから一緒に行った。

鎌倉駅からほど近い一角にある、文化財になりそうな立派な日本家屋の一部をリノベーションしてギャラリースペースにしており、上の階におひとりで住んでいる。

 

入り口はごく狭く、入って通路を曲がると広々とした気持ちの良い空間が急に出現してたまげた。ほどよくさびれた、でもちゃんと心が行き届いたミニマムなお庭で、ほれぼれするような肩の力の抜けた引き算の美。5月は一面あやめになるという。とても趣味の良い方なんだろうなと思うと軽く緊張したのだけど、初めて会ったKさんは、上品だけどすごくフラットで、一つも構えたところのない人だった。

コロナ禍になってすっかり引きこもった暮らしに慣れきってしまっていたけど、ああそうだった、こういう風に誰彼となく屈託無く一期一会を楽しめることは素敵なものだったなと思い出させてもらうような軽やかさなのだった。

まず自分が楽しみ、興味あることにはどんどんアクセスする。人生一度きりなのだから、人からどう思われようと自分のしたいようにした人の勝ちなんよな。楽しそうにお話しているKさんの相づちをうちながらにっこりした気持ちでそう思った。

 

Kさんとおっちんは久々の再会。前回あなたに会って、私すごく元気をもらったの!と笑顔で言い、環境問題の活動家でもある彼女は、ある環境のプロジェクトの明るい展望を語り、その啓蒙活動をぜひ一緒にやりましょうとおっちんに楽しげに提案していた。

 

おっちんは日頃から、環境のことや世界のことは、知れば知るほど自分の身に余るひどいことが多くてつらいばっかりだから、世界のことなんてあんまり知りたくないよ〜と言っている。

そういうおっちんの、若い世代の絶望感をKさんはよく分かっていて、それを少しでも払拭したい、希望を感じてもらいたいと思っていることが伝わってきて、頭が下がる思いだった。

 

「私はね、20年後のことにしか興味がなくて、そういうことばっかりやってるのよ」

といたずらっぽく言っていた。

そんな彼女の生き方に触れることが、おっちんにとってはひとつの希望になると思う。私にとってもしかり。ありがたいことだし、自分もそうありたいものだと思う。

 

 

ギャラリーの隣にある、広大な昔の大金持ちの元別荘(改修して高級レストランになっている)の素晴らしいお庭でお茶を飲んでから帰途につく。

なんか色々別世界で、久々に良い気分転換になった。