続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

10月後半の映画いろいろ

今、2時間も赤ちゃんと離れるのはとても無理なので、映画館は当分お預け。

「82年生まれ、キム・ジヨン」見たいんだけれどな。

それにしても、今、大型の映画館は「鬼滅の刃」一色というかんじだ。

一日の上映回数があまりに多くてびっくりする。

あまりになりふり構わず頼りすぎというか、鬼滅一色がすぎてちょっとおえっとなる。

映画に限らず、ここに来ていろんなジャンルで皆が一斉に「鬼滅」に乗っかっている。

いいんだけど、「それほど面白くない」とか、とても言えないムードなのが気になる。

そういうムードを感じるにつけ、やはり今この国はじわじわ浸食するように全体主義化していっているのではないかなあと思えて怖い気持ちになる。

 

このところ見た作品。

 

チチを撮りに

ポスター画像

2012年/監督:中野量太/74分

★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

現在「浅田家!」が公開中の中野監督の長編デビュー作。

最初からこの監督が語りたいことも、人間をどう描きたいかもすごく一貫していることがよく分かる。「湯を沸かすほどの熱い愛」や「長いお別れ」にまっすぐに繋がっている。ハハが良かった。「37セカンズ」でも思ったけど、渡辺真起子の一見あっけらかんと明るくかつ覚悟のすわっており、人としての温かさを感じさせる佇まいに胸がキュンとなる。

 

「7月22日」

厳選】冬休みにおすすめ!Netflixオリジナル映画作品! | FILMAGA(フィルマガ)

2018年ノルウェーアイスランドアメリカ合作/原題:22 July/監督:ポール・グリーングラス/144分

★★★★★★★★☆☆(8/10)

淡々と、無慈悲に殺戮のシーンが描かれる。起こってしまったことは決して取り返しがつかないことのやり切れなさがより迫る。

事件のショッキングさよりも、サバイバーを含めた残された人々のさまがじっくりと描かれる。台無しにするのは一瞬でも、取り戻すのは不可能だと思えるくらいの長い時間がかかる。

被告の弁護士、首相、警察、それぞれが私的な感情を抑えてルールを遵守する姿勢が印象的。歯をくいしばるようにして法に基づいて一歩ずつ進める姿に、ノルウェーの人々の民主主義への成熟と覚悟を感じた。

ルールを権力が手前勝手に改ざんするような国には決してない威厳。

 

「続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画」

Amazon.co.jp: 続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画を観る | Prime Video

2020年アメリカ/原題:Borat Subsequent Moviefilm: Delivery of Prodigious Bribe to American Regime for Make Benefit Once Glorious Nation of Kazakhstan/監督:ジェイソン・ウォリナー/96分/2020年10月23日〜Amazon Prime配信

★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

あまりに強烈で口あんぐり。どぎつすぎて自分にはとても笑えなかったけど、全てのタブーに果敢に挑戦する姿勢は尊敬する。

コメディの全てを相対化する力って強くて怖い。真面目ぶったものも、正しそうなものも、上品ぶったものも底の浅さを露呈し、化けの皮を剥がす。普通だと信じていることの異常さも突きつける。

ぶっ飛んだ娘役、コーエンと見事に渡り合っていた。

 

「悠久の地、サッカラ遺跡 眩き時代を語る」

Secrets of the Saqqara Tomb (2020) - IMDb

2020年アメリカ/原題:Secrets of the Saqqara Tomb/監督:ジェームス・トーヴェル/2020年10月28日〜Netflix配信

★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

近年で最大の考古学的発見が相次ぐエジプト・ガザ県のサッカラ遺跡の発掘チームを追ったドキュメンタリー。よくこの場に立ち会っていたな、というような大発見の瞬間のシーンがいくつもあり、黄色い砂の中から美しく彩色された棺や、精巧なフォルムの猫の像などが姿を現していくシーンは単純に胸おどる。

全員エジプト人で構成された発掘チームの人たち、考古学者だけでなく、砂を掘る現場作業の人々も含め、彼らにとっては遺跡はとても身近な、生活に密着したものであり、自分の人生と地続きの感覚がある。

4000年前の人間の作ったアート、そして人間自身が骨としてこんなにきれいな形で残っている。こういうものに接していると、人生や時間に対する捉え方は、全然違ったものになると思う。

骨を詳細に分析することで死者と会話する初老の女性学者の静けさが美しく、なんだか羨ましかった。

 

デヴィッド・レターマン 今日のゲストは大スター」

LIZZOが「デヴィッド・レターマン: 今日のゲストは大スター」に出演、プリンスとの思い出を語る。 | NPG Prince Site

2018年〜アメリカ/原題:My Next Guest Needs No Introduction with David Letterman/3シーズン/トークショー

★★★★★★★☆☆☆(7/10)

個人的に好きな俳優のロバート・ダウニー・Jr.が新たに配信されたシーズン3に登場していたので見てみる。

このトークショーの、訊くべきところはきちんと訊きつつも、けして下世話にならない気持ちの良い対話はレターマンのホストとしての優秀さによるところが大きいと思う。

ロバート・ダウニー・Jr.といえば、過去の薬物乱用からの更生と復活を抜きにしては語れない人だけど、いろいろあったことをあっけらかんと正直に、なおかつチャーミングに話すさまに引き込まれる。

アメリカという国は、こうして率直に人の過去の過ちを語り、またそれに寛容なところが素晴らしいなと思う。

ロバート・ダウニー・Jr.は、とても複雑な内面を持った人なのだろうなという屈託を感じさせるところが魅力。

娯楽大作への出演ばかりが続くが、おじいさんになってしまう前に彼の本気の演技が見られる作品が見たいなあ。

 

鬼滅の刃

大人気アニメが金曜の夜に登場!『鬼滅の刃』アニメをカンテレでゴールデン帯レギュラー放送! | カンテレTIMES

2019年/原作: 吾峠呼世晴/全26話

★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

そうそう、鬼滅も見たのだった。

前半、引き込まれた。絵がきれいで、お話の展開も面白く、戦闘シーンは迫力があって。

ただ、どうしても戦って勝てば次はさらに強い敵が現れて、と繰り返す強さのインフレ化からは逃れられないんだなあと。そこにマンネリを感じて、中盤以降はちょっと飽きてしまった。

アニメは、広い世代にわかりやすく構成も人物も単純化されているのだろうと思う。本当の作品の魅力はおそらく漫画に詰まっているんだろう。機会があれば漫画を読んでみたい。