続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」③

Netflix's The Social Dilemma sees people to delete Facebook, Instagram

ソーシャルメディアのもたらす悪影響】

人間の本能に「人と繋がりたい」という欲求が組み込まれているのと同様に、「仲間に自分がどう思われているかを気にする心」もまた、人間が共同体に適応して進化していくために組み込まれている本能のひとつ。

 

いかんともしがたく人は属する集団の構成員からの評価を気にするわけだけれど、本来その対象は小さな身近な人の集まりだった。

ところが、ソーシャルメディアでは何百、何千、何万という人々が数分単位で絶え間なく投稿者にリアクションする。

人間は5分おきに他者の反応を確認するような進化をしてきていない。人間は、そんな経験には耐えられない。 

 

〈子供に与える悪影響〉

十代の鬱と不安障害、自傷行為による入院、自殺は携帯版SNSが登場した2011年〜2013年を境に急激に増加している。

中学生で初めてソーシャルメディアに接した1996年以降生まれのいわゆるZ世代は、傷つきやすく、不安が強く、鬱になりやすい。また、リスクを恐れ、冒険を嫌う。恋愛やデートの経験率も急激に低下している。

 

ソーシャルメディアの普及によって、子供が見るべきでない情報に子供が晒されることになった。保護や規制は不十分で、現実はないに等しい。

 

スマホが生活の隙間を全て埋めるようになって、不安・さびしさ・恐怖・退屈といった感情を自力で対処できなくなった。「デジタルおしゃぶり」なしでは耐えられない世代を生み出した。

 

〈「いいね」の功罪〉

「いいね」は他者からの肯定的なリアクション。情報発信者にとってはドーパミンを分泌させる報酬である。

ただし、あくまで表面的で手軽で無責任なリアクションであるがゆえに、その効果は短期的なものである。

投稿者は「いいね」の多さが価値や真実と混同するが、所詮はかない人気に過ぎないので、すぐに虚しくなる。

その虚しさから逃げるために、さらに「いいね」をもらえる言動を繰り返すことになる。

快感を得て、それが切れると落ち込み、焦燥感にかられて徐々に過剰に摂取することになっていく、まるでドラッグのような悪循環が生まれる。

 

「いいね」を求める心が人々からより過剰な、過激な反応を引き出していく。「いいね」をもらうためには、真実である必要も、誠実である必要もない。

よりインパクトが強く、よりスキャンダラスで、より人々の欲望に即していれば良い。

露悪的な「炎上商法」と言われる現象は、ソーシャルメディアなくしては生まれなかったと言えるだろう。