続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

せんもんか

今朝、昨夜のsession-22の放送の特集をラジオクラウドで聴いていて、あまりにもびっくりしたこと。

 

このラジオには様々な国内外の「専門家」が日替わりで登場する。

昨夜の特集は「日本政府のコロナウィルス対策専門家会議のメンバー、武藤香織氏へのロングインタビュー」で、日本のウィルス禍における政府組織にいる最前線の「専門家」に話をきくという主旨である。

いろいろな専門家が集うこの番組の中でも、もっとも高い専門性を持った専門家の話になるんだろう、そう思って期待して聴いたのだったが。

 

うそでしょう、学歴は高いかもしれないがコロナに対してはろくな専門性もない人が、こんなふわふわした他人事なノリで、何で会議のメンバーとして呼ばれたかもろくに分からぬまま、手探り状態でやっているの???と終始愕然とさせられることになるとは。

これが政府の「専門家」のレベルなの?

こういう言い方が失礼なのは承知の上で、さらに武藤さん自身をどうこうというよりはそういう組織運営しかできない政府と省庁こそに問題があるという意味で、あえてあけすけに書く。ひどすぎる。

 

パーソナリティーのチキさんも、きっと内心「まじか・・・」と思っているだろうことは想像にかたくなく、けれどいつも通りクールに「なるほど」と相手の話を受け止めつつ、政府の専門家会議の内実を適確な質問によって浮き彫りにしていく。

 

特に驚かされた部分を抜粋。

武藤:専門家会議に入るまでは、私は感染症についてはこれまで研究をしたことがなかったんです。それまで関わっていたのはゲノム医療、再生医療、人を対象にした医療機器の治験などの先端医療の分野です。

荻上:そんな武藤さんが専門家会議に入ったいきさつとは?

武藤:いや、全然分からないんです。2月はじめのある日厚生労働省の知っている方から電話が掛かって来て、その上司のえらい方からメンバーに入って下さいと言われたのが最初です。なんで私がということを何度も訊いたんですけど、納得の行く答えは特になくて(笑)、DP号のことで先方も焦ってらして、詳しい説明は受けず、(今は)被災状況なのかなと思って勉強しながら入っていったって、そんな感じです。

荻上:医療社会学の専門家としてコミュニケーション領域で関わって下さいということで入られたんでしょうか。

武藤:どの領域でということは、あまりはっきりと伺ってなかったんです。「大変なことになるからよろしくね!」って感じですかね。何をよろしくされたのかはよく分からない(笑)

荻上:ええ?なるほど・・

武藤:専門家会議は、政府のコロナ対策本部を運営している中で、医学的な見地から助言等を行うと設置条項に記載されています。

荻上:でも武藤さんはウイルスの専門家ではないので、医学プラスアルファの見地からも助言を行うということになっているのですか?

武藤:途中からうすうす「こういう役割なのかな?」と自分で学んでいったところがあるんですけど、過去の歴史からウィルス禍で人権やプライバシー、倫理の点で課題が浮上した時点で何かお役に立てるのかなと思って最初は見守っていた感じです。

 2〜3週間意見を言わずに様子見していたが、だんだん「何のためにこの会議あるのかな」と思いだして、他の先生方もそう思いだして、もう少し先の予想をして政府に助言をした方がいいんじゃないかと話し出したんですね。

今の受け身的な状況だと上手くいかないんじゃないかとみんな何となく気付き出して、2月24日に専門家会議が市民に向けて一枚紙を出すという日がありまして。「私たちが持っている危機感を直接(国民に)伝えませんか?」とすごい勇気を出して言ってみたら、メンバーが皆賛同してくださって。その時初めてちょっと役に立ったかな、というふうに。

武藤:政府の方々からすると予想外の行動だったんじゃないかと。専門家が自分たちで喋るとは思われていなかったと思います。私たちとしても世の中の人に聞いて、信じてもらえるのか、全く自信がなかったので、ほんとおそるおそる発信をして。実際好意的に受け止めていただいて、危機感を感じてもらう後押しができたのかなという実感がありました。 

武藤:最初の頃は、専門家会議は政府からも重んじられていなかったと思います。こちらとして推奨していなかった施策が打たれたりすることもありました。最近は逆に「専門家が言うから。専門家が言うようにやっているだけです」という風に振れる場合もあって、バランスを取るのがすごく難しいと感じます。

荻上:以前は専門家の助言を聞いて政治家が判断します、というものだったのが今は緊急事態宣言をやるかやらないかは専門家の判断を待つ、という立場に変わっていますよね、政府の立場が。その意味で専門家会議の役割のようなものがかなりの期待値、機能が高まっているとも言えるわけですか?

武藤:んー高まっていいんですかね?(笑)

荻上:あの、是非はともかくとして

武藤:だからそこは色々な使われ方やご利用のされ方をしてるなっていう風に見ています。政府の立場も少し分かって。すごく苦しい、いろんな所からいろんなご意見をたくさんいただくのが政府だと思うので、政府としてもすごく苦しい時は専門家にここはもっとはっきり言ってほしいと思う部分もあるでしょうし。一方で医学的観点から見て「それはちょっと違う」という時はこちらも相当言い返していますので、また言い返した結果が反映されるかどうかは政府が決める事っていうのもあるので。

 

荻上:そもそもこの専門家会議の位置づけというものが曖昧だったり名称が大きいという問題はあるわけですか?

武藤:個人的にはこの名前は大げさだなあって、どこまでの専門家が入っているのか分からないですし。感染症は社会経済人々の心理全てに影響を及ぼすものなので、医学の見地だけで置かれたにしては大きい名称かなと思いました。

他国では、緊急事態に助言をする組織というのは常設であるんですよ。これ、常設じゃないんですよ。この感染症が始まったので置かれたということがあるので。ロールモデルがない、法律上の位置づけが不安定な組織であるとは思っています。

(中略)もし「専門家会議」という名前を使うんだったらその下に経済・心理・コミュニケーションといったたくさんの部会といったものを持った組織じゃないと全く足りてないという風に感じます。

 (中略)

武藤:政府全体に共通する事だと思うんですけど、政府の対策本部のメッセージ、安倍首相をはじめとする閣僚のメッセージ、専門家会議のメッセージ、あるいはクラスター対策班のメッセージというものに、共通の考え方とか理念とか、お互いにこれ気をつけてやっていきましょうとか「こうすればシンプルに伝わりやすい」といった知恵が全然共有されていないんです、現状。今の緊急を乗り切ったあたりで立て直さないといけないと思っております。

荻上:今の組織割合のまま、何となく武藤さんも誘われて入って、この構造がどう機能しているか分からないままスタートしてみたけれども、再度組織のあり方を審議し直さなければいけないということになるわけですか。

武藤:はい。ただ、席に座って助言をしているだけじゃなくて、官僚や保健所の方々など手が足りないところを毎日専門家が一所懸命埋めて働いているわけですね。だから政府のプレイヤーの一員としての面が非常に大きい。こうした助言の組織のあり方がいいのかどうかということもぜひ検証してもらいたいと思っていますし、それが良くないというのであればどういうものがいいのか。コミュニケーションに一本筋が通った体制というものも含めて、改善されることを願っています。ただ今は走らなければいけないので。

 

政府のガバナンスのぐちゃぐちゃぶりが痛感される、痛々しくそら恐ろしいインタビューであった。やはりローレンス・フィッシュバーンはいないのだ、どこにも。

 

岩田医師や渋谷医師のように、圧力や脅迫を受けながらメディアに助言をしている専門家もいる。現政府においては自分たちよりも器が大きく見識のある、何より政治に忖度しない人間は排除する。今起こっていることは、こうした姿勢の帰結でもあるんだろう。