続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

The Washington Post 2020/4/15の記事より

現状の日本のコロナ対応をクールに総括していたワシントンポストの記事。

元記事はこちら

「Japan sets aside $22 million to buff government’s global image amid pandemic struggles」2020/4/15 ワシントンポスト紙より

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-coronavirus-image-abe/2020/04/15/73bf1dee-7f00-11ea-84c2-0792d8591911_story.html?utm_campaign=wp_main&utm_medium=social&utm_source=twitter

 

「日本はパンデミックの闘いにおける世界的なイメージ強化のため2200万ドル(約24億円)を確保する」

 

新たな感染者数が増加し、日本の医療体制は崩壊の瀬戸際にあるため、安倍晋三首相の政府は危機感を強めている。そういうイメージが広がることに。

先週発表された緊急経済救済パッケージで、外務省は「コロナ感染症に関する日本のネガティブな認識を払拭するため」インターネットと大使館を通じたコミュニケーション強化に24億円割り当てることになった。

 

AIでSNSを監視し、海外での日本の情報を確認することに活用する。これにより外務省が「誤った情報」に対処する機会が与えられると毎日新聞が報じた。

多くの国が国際的なイメージ構築のために資金を確保している。しかし、最近の日本の動きは、パンデミックのただなかにある緊急経済救援策の一環としては不適切だと多くの批判を浴びている。

 

京都外国語大学教授のナンシー・スノー氏は“国際的なイメージ形成に夢中”な政権の典型的な防御反応だと述べた。

「安倍政権は内部からも外部からも異議をゆるさない保守的政権です」

「安倍政権の採る解決策はいつも単純なもの。“お金の事は脇に置いておきましょう。” なぜなら、それは彼らにとっては今現実に起こっている状況に向き合うよりも難しくないからです」

 

当初、日本政府への批判は2月のダイヤモンドプリンセス号での対応が中心だった。

乗客乗組員数百名が感染し、少なくとも12名が亡くなった。

感染症の第一人者、神戸大学の岩田健太郎氏は、船内での感染症対策の欠如を批判した。

しかし日本政府は、感染発生の処理を誤ったことを頑なに認めなかった。

日本政府は岩田医師を事態を誤解したはぐれ者とみなし、苦情を撤回するよう彼に圧力をかけた。

その後、何百もの乗客が追加検疫なしで帰宅を許されたが、船上で活動した医療関係者は、数人が発症したにも関わらずウイルス検査を拒否された。

 

 

安倍がコロナウィルス発生の深刻さを軽視し、東京オリンピックの延期を阻止する試みが失敗に終わった時、次なる批判が起こった。

国内での彼の不評を決定づけたものは、安倍の最近のコロナウィルス発生に対する対応である。

 

日本の医療者、専門家、地方行政の首長たちが感情的に訴えたにも関わらず、安倍は数週間にわたって判断を保留し、ついに先週、47都道府県のうち7都府県に部分的緊急事態を宣言した。

その後安倍内閣東京都知事と戦い、企業の休業要請を遅らせ、基準を緩めた。政府当局は、百貨店経営者を呼びつけ、閉店を撤回するよう命じた。

 

こうした一連のこと全ては、アベノミクス保全、そして長期間低迷する日本の経済状況下での安倍首相のなりふり構わぬ延命を目的として広く想定されたものである。

安倍の経済と株式市場への執着、地方行政者とのバトル、ペテン師的な広報への忠誠心は、世界の舞台におけるもっとも近しい友人トランプ大統領と多くの類似点がある。

世論調査によると、日本人の3/4が緊急事態宣言を遅すぎると感じており、安倍政権の支持率も低下している。

 

先週末、安倍首相は政府の発する「家で過ごそう」というメッセージを強化しようとして自宅の居間で犬をなで、さりげなくお茶をすする自身の動画をツイートして批判の集中砲火を浴びた。

新聞の見出しやツイートは、安倍を「王宮」の外にいる市井の人々の苦しみをほとんど理解しない、思いやりのないどうしようもないリーダーであるルイ16世にたとえた。

しかし、海外からの批判は特に大きな痛手となったようだ。

 

日本はアメリカの信頼のおける同盟国であり、権威主義的な中国に対抗するアジアの民主主義国のリーダーである。そう世界に印象づけるために日本が投じた海外向けの広報予算は、安倍首相が就任した2012年以降、急激に上昇した。

 しかし、批評家たちは日本の戦争犯罪を改竄する試みにも金が費やされていると語る。

 

外務省報道官の大鷹正人氏は、この新しい資金は「COVID-19に関する日本および日本の政策の正しい理解を促進するために使われる」と述べた。

これには2021年開催予定のオリンピックとパラリンピックへ向けたビデオや広告といったプロモーションも含まれる、と彼はあるメール文書に書いた。

 

(前出の京都外大教授の)スノー氏は「安倍の周囲はほぼ全員男性の“イエスマン”で固められており、幅広い視野を持った見解は歓迎されず、反対意見を抑圧することによって、日本の民主主義、そしてコロナ危機への対応は後退しました」と述べた。

少なくともこの広報活動は優先順位が間違っている、と他の批評家たちも言っている。

 

外務省が国民によって納められた税金を海外からの批判封じ込めのために浪費しているという事実は、日本政府がコロナ禍をパンデミックの危機というより政府の宣伝広報の危機として捉えているということを示している、と日本テンプル大学アジア研究員ジェフ・キングストン氏は語る。

 

「AIは、諸外国の認識をなだめすかすよりウィルスの集団発生に対処するために使うべきです」と彼は付け加えた。

「政府批判者と戦うためなどではなく、ウィルスの集団感染を封じ、患者を治療し、パンデミックによって命を奪われた全ての人々を支援するために注力すべきなのです」

 

 

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私が海外を旅していた2000年前後、他国の人と話すと、おおむね日本は経済、技術、文化、教養が進んでいて豊かで洗練された先進国だと認識されていたと思う。 

多くの発展途上国に経済・人道支援を行い、更に平和憲法を掲げる日本のパスポートは当時強かったと思う。どんな僻地に行っても日本人の旅人に出会ったものだった。

 

だから、昨年の12月にアフガニスタンのために尽力した中村哲さんが他界したこと、そして彼の功績には到底見合わない敬意に欠けた態度をこの国が示したことは、私にとって強い悲しみを感じさせる、ひとつの時代の終焉を痛感させる出来事だった。

こんなにも早く自分の国がこんな風に変わってしまうことを、さすがに想像できなかった。

 

安倍政権の7年間で、日本は経済のみならず多方面で大きく衰退することになった。

経済がいつまでも高度経済成長、バブルのようにいかないのは当然としても、学問や文化芸術の面、なによりモラルの面においても、こんなにも凋落してしまうとは思わなかった。

 

「内向きでイタい勘違いした独裁政権」という日本の残念なパブリックイメージは、政府が遮二無二お金をつぎ込めばつぎ込むむほどに、しっかりと敷衍していくんだと思う。