続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」と性教育

最近ゆうたがはまって見ているのがこちらのドラマ。

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2014年〜2018年アメリカ/原題:Mozart in the Jungle/制作:ローマン・コッポラ他/全4シーズン40エピソード 各話26〜30分 Amazon Primeで配信中

 

ニューヨーク交響楽団のマエストロをガエル・ガルシア・ベルナルが演じていて、モデルはグスターボ・ドゥダメルとのこと、なるほど、と思う。

ドゥダメル自身も裏方のスタッフ役でカメオ出演していて、「今のロサンゼルス交響楽団の指揮者はどうしようもないね」(ドゥダメルはLA交響楽団の常任指揮者)なんて自分で言わせたりしていて面白い。

 

原作はオーケストラのオーボエ奏者、ブレア・ティンドールの自叙伝「Mozart in the Jungle: Sex, Drugs, and Classical Music」。タイトルの通り、きわどい内容を含めたオーケストラ団員たちの舞台裏が面白く描かれているらしい。

映像化した本作も性描写を含めてかなりあけすけな内容になっている。

 

私は最初のほうで面倒になって脱落してしまってもうフォローしてないが、ゆうたはとにかくオーケストラ関連のものなら手当たり次第見る人なので、この手持ち無沙汰な日々を良いことにぐんぐんと見進めている。

 

 

ところで、思春期の子供への性教育って、最近の世の親たちはどのようにしているものなのだろうか??

しばらく前に隣りの市で中学校教員をされている方(女性)、助産婦さんと私で話をする機会があって、自分の牧歌的な性教育の認識は相当まずい!という指摘をばしっとされた。

 

その方はとってもさばけたキャラクターの先生で、きっと生徒に信頼されていることもあると思う、性交渉について生徒から日常茶飯に相談を受けているということを事も無げに言われた。

「今朝も『せんせー、昨日彼氏に襲われちゃってさー、避妊してないけど大丈夫か調べて』とか保健室に来て言われたところですよ」

不良だの非行だのとは関係ない、ごくごく〈普通〉の中学生女子だそうだ。

 

男子学生もクラスメイトの女生徒と「しょっちゅうやってるよ」とか、平気で言いますよ、と。

「だから私も言ってやるんです、『あんた、ひとりよがりになってんじゃないの?ちゃんと避妊して、彼女に思いやりを持って気持ちよくしてあげなきゃだめなんだよ!』って」

 

ひーえー、と私はのけぞり、「そ、それ中学生ですよね」とおそるおそる訊くも、二人して呆れ顔で「もうー、今どき何言ってんすか。普通ですよ普通!」と言われ。

「うち、長男高1ですけど、彼女もいないしそんなんおくびにも出さないし・・」とつぶやくと、なかば気の毒そうな顔で見られる始末であった。

 

そして、先生は「それをダメとか禁止とか言ってみても始まらないわけで、問題は日本の学校性教育がクソだってことです。女生徒がどうしてセックスした次の日に妊娠検査できるとか思ってるのかってこと。何もちゃんとした知識を身につけないままにやることやってるってのが本当に問題」と、熱く語り出したのだった。

 

助産婦さんも「ほんと学校の性教育クソだよね!」と。

「中学校に性教育の出張授業に行く際に、学校側から言われるんです。どのようにして卵子精子が結合し、着床し、妊娠するかについて説明してほしいんだけど、セックスって言葉はけして使うなって。それ言わずにどう説明すりゃいいのよ。めちゃくちゃでしょう?」

 

先生は、あまりに文科省主導の性教育がひどく、生徒が実際的な危機的状況にあるという認識から、自分の教科の時間を割いて授業中に自主的に性教育の授業をするのだと言っていた。

「正しく必須の知識をきちんと大人が教えてあげないと。あの子たちびっくりするくらい何も知らないでやってるから」

 

いやはや、びっくりすると共に反省させられた出来事でありました。と同時に、こういう中学校の先生がいてくれることはとても頼もしく、ありがたいことだなと尊敬した。

 

 

その夜さっそくだんなさんに「我が家は何もしてないでえんやろか」と相談するも、だんなさんも「えーうー」と当惑するばかりであった。

Netflixの「セックス・エデュケーション」をゆうたと一緒に見るとか!?と提案してみたら、げんなり顔で「あんなん親と一緒に見るのなんて一番嫌がることだと思うよ・・・」と即却下。

 

私はその種の話を子供たちとするような機会を少しも持って来なかったのだけど、妹のおっちんは小さい頃から国内外の大人の映画を見まくってきたので、気付けば映画で免疫が完全に出来ていた。

今では偏見なく性のことをびしばし語る中学一年生に仕上がっている。

 

「こんなん見せてしまっていいんだろうか?でもあーもう止めるの間に合わない、まいっかー!」という感じで一緒に見て来てしまったのだけど、今は良かったなと思っている。

彼女にとって性愛は自然な人間の営みの一部で、愛と欲望のリレーションシップで、取り立ててあけすけに言わないけど誰しも普通にやってること、という認識。

大人ぶって訳知り顔のきらいもあるけれど「ま、仲がいいのはいいことだよね」なんて言ったりする。

 

一方、映画を見ず教育も受けていないゆうたは、良質な性描写に触れてきていないし、ろくな知識もない。

性のことは友だちや先輩との猥談や、ネット動画や、ネット上に出し抜けにあらわれる卑猥な広告や漫画のイメージがベースになっていると思う。

それは、性ではなくて、エロでありAVの世界なのだ。ふとした反応を見ていても、性のことをとても恥ずべきいやらしいことと捉えているのだろうと感じる。

これ、かなり根深い問題だと改めて思っている。

 

以前誰かが書いていたが、「海外のアダルトコンテンツではセックスをしているが、日本のそれでは女が犯されている」と。今、韓国のn番部屋事件というおぞましい事件も大きく取り沙汰されているので、日本に限ったことではないのだろうけれど、日本の男性のある一定数の性意識が「日本的な」AVをベースに作られていることは、歪んだ性や女性に対する認識を植え付ける要因のひとつになっているのではないかと思われる。

日本は世界で類を見ないほど、女性専用車輛を作らねばならぬほど、痴漢被害の多い国でもある。

 

長く脱線したが、だからゆうたがこのすったもんだの大人の音楽ドラマで、ベッドシーンとかじゃんじゃん見たらいいね、と思っている。

けしてお上品なものではないけれど、少なくともそこには人間の感情や愛憎を伴った関係性がベースにあり、人間の生活の延長線上に性があるのだから。

 

これまであまり考えてこなかったけれど、今年のテーマのひとつは性。

個人的に「性」についてじっくり考えてみたいな、という気持ち。