続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「マインドハンター」

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2017年〜アメリカ/原題:MINDHUNTER/デヴィッド・フィンチャー監督/現在2シーズン計19エピソード

 

 

特殊メーキャップアーティストの辻一弘さんが今関わっているNetflixオリジナルドラマ「マインドハンター」をようやく見始める。

 

 

やっぱりデヴィッド・フィンチャー大好きだ。なんてセンスがいいんだろう。

エッジの効いた魅力的な会話を中心に物語は深まり、スタイリッシュな編集、金属的なデタッチ感のあるシャープなビジュアル。

フィンチャーの作品を見ると、いつも知的好奇心が刺激されて気持ちがぐっと上がる感覚がある。うーん、紛れもなくフィンチャー作品だ。

 

 

何より作品のテーマが興味深い。今、この作品を世に問うということの意味の大きさ。

 日本においては、宮崎勤事件であったり、酒鬼薔薇事件であったり、オウム真理教といった、その後の社会を変質させてしまうような影響力をもつ異常性の高い不可解な犯罪。

アメリカ社会においてこのような猟奇的犯罪が顕在化してきた1970年代を舞台に、その犯罪性の本質を2人の男が解き明かして行くサスペンス作品になっている。

 

今のアメリカ社会の病理のはじまりのカギはこの時代の犯罪にある。

「頭のおかしい人間のやった訳の分からない残酷で見たくもない犯罪」としてひとまとめにして追いやったり、簡単に分かったような気になったりするのではなく、いかにしてこのような人々や犯罪が社会から生まれて来たのかを見据えるという試み。 それがこの作品のメインテーマのひとつといえると思う。

これまでおざなりにされてきたアメリカ社会の暗部における事実の検証であり、ある種の歴史的総括のような作業にも繋がってくると思う。

 

これは非常に重要で、アメリカに限らず現状の社会に致命的に欠けている視点。

簡単に悪者を見つけて叩いて、溜飲を下すガス抜き。あるいは理解できぬ存在はていよく排除していない者とする。

こうした浅はかで短絡的なものの見方に一石を投じたいという意欲を感じる。

 

そういうものを質の高いエンターテインメントで見られるのは、面白く刺激的なことだ。

 

 

1話から面白すぎて。寝不足注意!

 

9/10追記

5話まで見て、テーマについてはちょっと買いかぶり過ぎだったかもーと思う。

シンプルなプロファイリング・犯罪ものの様相を呈して来た。

フィンチャーはトータルコントロールはしてるだろうけど、「ハウス・オブ・カード」同様、全部の演出をしてるわけではなく。

 

主に母親との関係、貧困を中心とした子供時代の環境に犯人の異常性の根拠をみる、それは確かにすごく大きな要因なんだろうけれど。

 

また、辻さんメイクのマンソンは、ホアキン・フェニックスかと思ったが勘違いで、デイモン・ヘリマンだった。すごい良かった。

  

しかしやっぱり面白いし上質なドラマ。美しく怖くスリリング。

主人公のホールデンが成長と共にだんだんとシャーロック・ホームズ化してきており、謎解きの面白さもあってでぐんぐんと見進めているところ。