続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「百日告別」

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2015年台湾作品/原題:百日告別 Zinnia Flower/林書宇監督/96分

交通事故で最愛のパートナーを亡くした2人の男女が現実と向き合っていく姿を描く、「九月に降る風」のトム・リン監督作品。結婚間近の婚約者と妊娠中の妻を同じ玉突き事故で失ったシンミンとユーウェイ。それぞれ最愛の人を失い、その事実を受け入れることができない2人。しかし、現実は無常にも流れていく。初七日から七七日と節目ごとに山の上の寺を訪れるシンミンとユーウェイは、読経を通じて互いの存在に気づいていく。結婚・育児休業後の復帰作となるカリーナ・ラムシンミンを演じ、台湾のバンド「Mayday」のギタリストであるストーン(石頭)ことシー・チンハンがユーウェイを演じる。2015年・第28回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門では、「百日草」のタイトルで上映されている。(映画.com)

 

トム・リン監督自身が妻を喪い、集団法要の儀式に参加する日々の中で、自分と同じように親しい誰かを喪った人たちが、それぞれの人生を生きていることに気付かされたことが、発想の原点となったそう。

「喪に服す日々の中での思い」に素直にじっくりと向き合っていて、等身大の実感を感じた。

 

作り手の人柄もあると思う、終始透明感を感じるじんわりと優しい作品。

遺された人たちの日々に言葉少なに寄り添いながら、少しずつ前を向いて行く過程を描いている。親しい誰かを喪ったことのある人なら誰にも近しい、その過ぎ去ったセンチメンタルさを含めてしみじみとした感慨を抱かせる作品だと思う。

 

監督自身が公言しているように、是枝裕和などの日本映画の影響を色濃く受けている。キャストも美術も衣装も音楽も撮影のトーンも、これまで見て来たエドワード・ヤンホウ・シャオシェンのような台湾作品という感じがしない。

終始日本映画を見ているようだった。淡く、どこかデタッチな感覚。やや取り澄まして感じられる程に、良くも悪くもスマートだ。

だからといって、けしてきれいごとという訳でもないのだけど。

 

ヒロインのカリーナ・ラム、とっても可愛く、親しみを感じる雰囲気を持っているのは、母親が日本と台湾のハーフということもあるのかな。淡いトーンのこの作品にぴったりだった。彼女の服装やインテリアはまるで「暮らしの手帖」から抜け出てきたみたいな感じだった。

 

死んだ彼と行くはずだった沖縄旅行を一人で辿るシーンがしみじみと良かった。沖縄の人々のゆるさ優しさ、美味しそうなごはん、温暖な気候と広々とした自然。何よりお年寄りたちの沖縄言葉とつぶらな瞳と小柄な体が可愛らしかったことが心に残りる。

初めて沖縄に行ってみたいな、とすごく思った。

 

もう一人の主人公は男性で、終始並行して物語が進む。もちろん彼の感じも分かるんだけど、あまり彼の演技には心動かされなかった。

演じたシー・チンハンは、台湾では大変人気のあるロックバンドのミュージシャンらしい。知らない自分は「そこまでこの人が男前の設定って・・・」って思ってしまうんだけど、台湾の人にしたら最高全然違う印象なんだろう。

 

各国の恋愛映画を見ていると、イケてる美人はどの国でも美人だが、イケてる男性の定義は国によってかなり違うように思う。

 

ともあれ、さりげなく優しく、好きな作品だったです。同じ立場に置かれた人が見たら、きっと優しく癒されることと思う。