続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

生後330日(10m/26d)

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赤ん坊は、歩くのがあっという間に上達して、トコトコと何十歩でも歩くようになった。お家プールを毎日やっているけれど、家の中で過ごすのが飽き足らず、もっと体を動かして遊びたそうにしている。

とはいえ公園で走り回って遊べる段階ではなく、なにより野外が暑すぎるので、日中どこへ連れて行き、発散させてあげればいいのか本当に持て余してしまうこの頃。

でも、赤ん坊が体力を持て余してぐずるとややこしいので、だんなさんは連れて出て行って欲しそうだ。ストレスが溜まっている様子が見て取れる。最近は、二日に一度は波乗りに行っているし、どう考えても私よりはずっと自由時間多いんだけどなあ、と割り切れない思い。

 

昨日は、私がぼーっとして赤ん坊が段差から落っこちたときに、「放置されて不憫だから保育園に預けたほうがこの子のためだね。もう本当に保育園探そうね」と言われた。その時は赤ん坊を危ない目に遭わせてしまった、悪かったな、としょんぼり思ったのだけど、時間差で言い知れない怒りがむくむくこみ上げてきて始末に困った。

私は何につけても即座の反応が鈍いから、その場でパッと言いたいことを言い返したりすることができない。また、うちのだんなさんは怒り口調とかで言わずにおだやかに話す人だから、こう、分かりやすいフックがないのだ。

それでなくても、うちは在宅中心のフリーランス家庭で、だんなさんが言い合いを嫌うこともあり、極力言い争いやけんかをしない夫婦である。よその人からは大体円満に見られるし、実際基本的に話は合うし、普通に優しい良い人でもある。

でも、お互い余裕がない時は、やっぱり試されるなー!と思う。

 

黙って淡々と過ごしながら、ずーっと言われた言葉がぐるぐると頭の中で回っていて、だんだんとやっと悲しみを悲しみとして感じられるようになってくる。

私は、なんじゃろな、と思う。ほんと、なんなんじゃろな。

 

最近は市の子育て支援センターを何度か利用させてもらっている。広くて、おもちゃがたくさんあって、危ないものは撤去してあって、クーラーがよく効いている。

そこで2時間ほど、赤ん坊をぼーっと眺めて、たまに職員さんやよそのお母さんと喋ったりしながら過ごす。なんというか、独特のトーンを持った空間である。

私は当たり障りのない世間話というのがどうにも苦手なので、こういう場所はあまり得意でないのだけど(変に緊張してしまう)、今はありがたく活用させてもらっている。

嬉しかったのが、昨日見つけた貸し出し可能な寄贈本のコーナー。近所に住んでいる人気の絵本作家さんが、知人を通じて著作をまとめて寄贈してくれたのだそう。未読のものがたくさんでほくほく。早速数冊まとめて借りしてきた。

わーいコンプリートする楽しみができたー。

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外で夕方近くまで過ごし、汗だくで帰ったら、だんなさんはリビングでおっちんとおしゃべりしながらお茶をしていて、普通の感じであれこれ話しかけられる。

その頃には怒りがMAXで、私はあんまり話したくない気持ちになっている。

いつも時間差がありすぎるので、私は家族にしてみれば、ほぼ意味不明の癇癪持ちみたいなものだ。こういうの良くないんだろうけれど、鈍いのはどうしようもない。ぱっと切り返せる理解力と瞬発力が良い人が羨ましい。

どんな事象であれ、これは一体どういう意味か、ということを理解するのに私はいつも時間がかかりすぎるように思う。

 

そんな中でも、赤ん坊は全然意に介さず、笑ったり泣いたり、抱っこをせがんだりおっぱいを飲んだり、常にピカピカしている。触れるとぷくぷくと柔らかく、髪はふわふわで、大きな声で意味不明な言葉を喋っている。

私はどうしてもつられてにっこりしてしまう。可愛くて面白くて、日に何度でも気持ちを立て直す。なかなか浮上できない時もあるけれど。

そして、だんなさんがいくら隣りで手を広げて呼んでも、赤ん坊は満面の笑顔でおぼつかない足取りで、まっすぐ私だけを見てゆらゆら歩き、私の胸にダイブしてくる。それで内心数ミリせいせいとしている、笑。

家族とも不承不承喋っているうち、だんだんうやむやになってまいっかーとなって、日が暮れればまた米を研ぎ、夕飯を作る。母ちゃん生活は続く。

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階段にドアをつけたら、段の隙間から侵入したのでDIYでふさぐ。日々攻防戦。

「ルックバック」藤本タツキ

岸政彦さんがシェアしていたこの漫画。久々に漫画を一気読みした。あんまり素晴らしくて絞り出すみたいな涙が出た。ぐはー、言葉が出ない。

 

今日は朝から低調な滑り出しだったのに、こういうものがすぐ身近にあって、何度でも心を温め、励ましてくれるのは、なんて豊かなことだろう。

 

逃避も素敵だけれど、少なくとも私は、逃避だけでは癒されない。怖いものや、面白おかしいものだけでは。

心の深い部分を優しく慰撫するのは、魂を込めて書かれた物語だけができること。

まっすぐで、ひたむきで、湖の底みたいに静か。残酷で、たまらなく優しい。

いしいしんじの小説のような味わいを持つ作品だった。